第25章

前田南は彼の手首を掴んだが、その手首に自分が残した歯形を感じた。

望月琛は眉をひそめた。

「本当にないのか、それとも嘘をついているのか。前田南、お前自身が一番わかっているだろう」

前田南は一気に頭に血が上った。

いつもこんな口調なんだな?

前田南は手を放し、代わりに彼の首に腕を回した。

「あなたに気があるって言ったでしょう?いいわ、来て、私の望みを叶えてよ」

そう言いながら、前田南は望月琛の唇に自分の唇を押し付けようとした。

望月琛がそれを許すはずもない。

彼女が迫ってきた瞬間、望月琛は嫌悪感を露わにして彼女を押しのけた。

「気持ち悪いことするな」

ふん。

「わざとあ...

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